初心者がutf8でLaTeXとBibTeXを使うための一通りの準備(Mac編)
今回はMacでのTeXのインストールから設定までのメモ。基本的な利用に加え、他の人が公開しているオリジナルのパッケージや、BibTeXでの文献データベースを利用するための設定までを紹介。なおタイトルにある通り、文字コードはutf8で使う環境になる。
コマンド操作も行うのでターミナルの起動ができる必要があるが、前提知識はそれくらいだと思う。なお今回の環境はOS X Mountain Lion。*1
コンテンツ
MacTeX 2012
Mac向けのTeXディストリビューションの中ではMacTeXがメジャーなようで、今回はこちらをインストール。*2
エディタの設定・インストール
パッケージ・環境変数の設定
様々な人がLaTeX用の自作のパッケージを公開している。そうしたパッケージを拾ってきて自分でも使えるようになれるとさらに便利なので、そうした追加の設定について紹介。
隠しファイルの表示・非表示
ここからの作業では、隠しフォルダの中で作業をするので、これらを見えるようにする。Finderの環境設定では設定できないので、ターミナルから設定・再起動をする。作業がすべて終わったら非表示にするといい。
#表示する場合 defaults write com.apple.finder AppleShowAllFiles TRUE killall Finder #非表示に戻す場合 defaults write com.apple.finder AppleShowAllFiles FALSE killall Finder
スタイルファイルの置き場所
個人で用意したパッケージなどをインストールする。追加のstyファイルとbstファイルはそれぞれ以下の場所に置くことで使えるようになる。*6
- styファイルの置き場所:/usr/local/texlive/texmf-local/tex/latex/local
- bstファイルの置き場所:/usr/local/texlive/texmf-local/bibtex/bst/local
それぞれの場所にコピーしたら、ターミナルで以下のコマンドを実行。
sudo mktexlsr
このコマンドはフォルダの中身を更新した時いつも実行するようにする。これでパッケージのインストールは完了。なお、パッケージファイルの文字コードに注意。SJISで書かれたファイルはutf8に変更してから保存する必要がある。
BibTeXの環境変数
BibTeXの文献データベースファイルも、TeXが認識できる場所に置く必要がある。私の場合Dropboxで文献DBを同期させたいので、逆にDropbox内のフォルダをTeXが認識できるように設定する。
そのために、/usr/local/texlive/2012/texmf/web2c/texmf.cnfを編集する。普通のテキストエディタで開けるが、最初はファイルにロックがかかっているので、ファイルとフォルダのアクセス権を変更しないと編集ができない。以下の手順でロックを解除する。
- texmf.cnfを右クリック -> 「情報を見る」
- 右下の鍵マークをクリック、PCのパスワードを入力
- 一番下の「共有とアクセス権」の部分を変更して書き換え可能に変更
- ファイルが収まっているweb2cフォルダに対しても同様に上記の操作を行う
これでtexmf.cnfが編集可能になる。後々編集し直したいときは、ターミナルで以下のコマンドを打てば、隠しファイルになっていても編集できる。
open -a textedit /usr/local/texlive/2012/texmf/web2c/texmf.cnf
ここからは編集の内容。例えば~/Dropbox/Bibliographyに文献DBを保存している場合、以下のように書き換える。他に保存場所があればそれに合わせて編集する。
このファイルの225行目付近を変更。もともとの部分はコメントアウトして、以下のように書き加える。
% pBibTeX bibliographies and style files. %BIBINPUTS.pbibtex = .;$TEXMF/{pbibtex,bibtex}/bib// BIBINPUTS.pbibtex = .;$TEXMF/{pbibtex,bibtex}/bib//;~/Dropbox/Bibliography//
続いて305行目付近を変更。もともとの部分はコメントアウトして、先ほどと同じように書き加える。
% BibTeX bibliographies and style files. bibtex8 also uses these. %BIBINPUTS = .;$TEXMF/bibtex/bib// BIBINPUTS = .;$TEXMF/bibtex/bib//;~/Dropbox/Bibliography//
これで、設定したフォルダ内に文献DBを保存すればBibTeXが認識してくれる。セミコロンで区切ればいくつでも指定できるし、スラッシュ2つでそのフォルダ以下のすべてのフォルダという指定になる。
補足:jsクラスの余白について(2013.04.28追記)
個人的に困っているけど根本的な解決策が見つかっていないので、対処療法を補足。実はjsarticleなどのクラスファイルを使ったときに、なぜか余白が偏っている(左下にずれている)のを修正できずにいる*7。
手っ取り早くgeometryパッケージで指定してやればその通りに出力される。ついでに余白の大きさも自由に変えられる。
\usepackage[top=30truemm,bottom=30truemm,left=30truemm,right=30truemm]{geometry}
当面はこれで解決できるが、また今後根本的な解決策が見つかったら書き直す。
さいごに
Macの使い方はまだわからないことが多いけれど、TeXのインストールはこれで一通りだろうか。これでBibTeXなども、各自が利用する環境に合わせてカスタマイズする方法もある程度紹介したので、だいぶ選択肢も広がったのではないだろうか。足りない部分や修正が必要な部分はご指摘いただけるとうれしい。また、Windows、Ubuntuでのインストール方法も、過去のエントリで紹介しているので、また必要な人は合わせて見ていただけるとうれしい。
脚注
*1:MacBook Air(Late2010)を使用。
*2:ベースはTeXLive2012なので、設定については、Ubuntuでのインストールについて書いたときと割と重複する部分も多いだろう。
*3:このカスタマイズには後から気づいたので、必要ないTeXWorksとBibDeskだけ後からアンインストールした。
*4:「TeX」の部分も変えた方がよければ、 「simpdftex eptex --mode dvipdfmx --extratexopts "-synctex=1 -kanji=utf8"」ということになるらしい。正直詳しくはわからない。
*5:2013.04.09追記
*6:認識できる他の場所の一覧を調べるには、ターミナルで「kpsewhich -show-path=.sty」「kpsewhich -show-path=.bst」というコマンドを実行すればよい。それぞれのファイルをシステムが探しに行くフォルダを表示してくれる。もしデフォルトの設定で保存場所が変わっていたら、これで確認するとよい。その中でも、texmf-localはTeXのシステム更新に影響を受けないため、個人で用意したファイルならばtexmf-local以下の場所が推奨される模様。